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「古酒」と呼ばれる、長期熟成酒。


熟成酒がマイルドなのはなぜ?
日本酒でもワインでも、酒は熟成させる(俗に言う『寝かせる』という状態)と、舌がアルコールから受ける刺激が弱くなり、マイルドな味わいに変化します。このマイルド感がなぜ生まれるのかというと、水に秘密があります。酒を熟成させると、下図のように、クラスターと呼ばれる水の分子の構成員たちが、アルコールの分子を次第に包み込んでいきます。その状態が完成したときにアルコール分子の刺激が和らぎ、まろやかな味になるのです。こうしてできた長期熟成酒は、俗に『古酒』と呼ばれます。

時間が神の手となって旨味を引き出す
清酒の造りは、精米技術の向上との戦いでした。鎌倉・室町時代に自然界の精米技術としてあったのが、「長期熟成」です。お米の中にある糠(ぬか)をオリとして下げ、それが2度、3度となることで酒はスッキリしたものになりました。しかも、お米の旨味成分となるものはそのままに残して、時間は神の手となるのです。

からだに優しい長期熟成酒
実は、既に昔の人は長期熟成酒の酔いの良さを知っていたようです。江戸元禄時代に出版された『訓蒙要言故事』の中で、長期熟成酒は、頭から足先まで体全体に潤うように酔っていくのに対し、新酒は頭部ばかりが酔うというように、長期熟成酒と新酒の酔いの違いが書かれています。現代の科学的見地からも、『よく熟成された上質の酒は、かなり飲んでも悪酔い(二日酔い)しない』と言われています。長期熟成酒は、新酒に比べ、体にやさしく、アルコールの分解が早い事が立証されています。



古くて新しい、それが熟成酒。

古くから、
「酒林の杉の葉がしだいに薄焦げた色に変わる頃、酒が旨くなる」といわれてきました。とげとげしいアルコールの分子が熟成し、まろやかなアルコール分子に変わっていくからです。

そのうえ、
長期熟成酒になるとアミノ酸の旨味と糖分が結合して化学反応し、年月とともに力強い香りと複雑で微妙に調和した香りをあわせ持ち、また重厚で程よい苦みと旨味を持った酸によって、後味の良い酒へと変化をとげていきます。

つまり、
従来の日本酒が、熟成させずに出荷する形が当然であったことからすると、熟成酒のあり方は、古い酒を作る(熟成させる)ことによって新しい酒として生まれ変わらせるという、発想の転換なのです。3年以上の熟成酒を長期熟成酒としていますが、5年、10年と熟成させたものの旨さは格別です。



熟成酒のタイプ


冷温でいただく淡麗型
なんといっても香りが生きる冷やで飲む熟成酒。5〜10℃くらいに冷やしたものが、もっとも酒の特製を賞味できます。口に入れる前に、淡麗でさわやかな芳香を十分に楽しむことができます。

常温・ぬる燗でいただく濃熱型
淡麗ではあるが、酸味があって、辛口で渋みのあるタイプの酒。香りはどちらかというと低く、意地のある酒がぬる燗にあうものです。42℃くらいが、適温でしょう。燗の具合と座敷のムードが調和すると、一段とおいしく酒がすすむのはご存知のとおりです。



料理とのハーモニーを高める熟成酒
日本料理はアミノ酸の食文化といわれます。魚に多く含まれるイノシン酸が、日本酒に多く含まれるグルタミン酸と出会うと、最高の味を醸し出します。このことからも、日本酒は、海の幸に育まれてきたものといえます。
このわた(ナマコの腸の塩辛)、このこ(ナマコの卵巣の干物)、めふん(サケの腎臓の塩辛)、あんこうの肝、いかわた西京漬、ほやの塩辛などの珍味類は、熟成酒との相性が良好です。また、さえずり田楽(クジラの舌肉の味噌焼き)、竜田揚げ、ベーコンなども、熟成酒との相性が良いようです。



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